Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評】まさに「秘境での生活」『ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活』

 

ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活

ルポ西成 七十八日間ドヤ街生活

 

 

「ドヤ」に泊まり、「飯場」で実際に働いた男のルポ。これが凄まじく面白かった。

そもそも、「ドヤ」とか「飯場」という言葉の意味にピンとこない人は多いんじゃないだろうか。

というか、今は「ドヤ」も「飯場」も準放送禁止用語らしい。

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【書評】世界は、イメージよりもかなり良くなってます『 FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣』

 

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

FACTFULNESS(ファクトフルネス) 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣

  • 作者: ハンス・ロスリング,オーラ・ロスリング,アンナ・ロスリング・ロンランド,上杉周作,関美和
  • 出版社/メーカー: 日経BP社
  • 発売日: 2019/01/11
  • メディア: 単行本
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まず、本書の冒頭で「クイズに答えてみよう」ということで以下のような3択問題が出される。

 

【質問1】
現在、低所得国に暮らす女子の何割が、初等教育を終了するでしょう?

A.20% B.40% C.60%

 

【質問2】

世界で最も多くの人が住んでいるのはどこでしょう?

A.低所得国 B.中所得国 C.高所得国

 

【質問3】
世界の人口のうち、極度の貧困にある人の割合は、過去20年でどう変わったでしょう?

A.約2倍になった B.余り変わっていない C.半分になった

 

こんな感じの、所謂「世界的な社会問題についてのクイズ」が13問ある。

 

驚くべき事に、これらの問題を先進国の人たちに出題したときの(つまり、この本を読むような人たちに対して出題したときの)正解率が、何と10%を下回るらしい。

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【書評】我々の、そしてタコの心はどこから来たのか?『タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源』

 

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

 

 

昔、ネット情報だが「イカの目は異常に発達していて非常に高い性能を持っている。しかし、脳はそれほど発達していないので目から得た情報を処理し切れていない」というのを見たことがある。「イカは宇宙人が送り込んだ偵察用の生物兵器だ」とか、オカルトな事も書かれていて当時若かった僕は面白がって見ていたものだった。

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【書評】素晴らしき未知なる世界『辺境メシ ヤバそうだから食べてみた』

 

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた

辺境メシ ヤバそうだから食べてみた

 

 

いい。すごくいい。

エッセイ集として面白くて、未知の世界に触れられて、知見も広がる。以前読んだ『鳥類学者だからって、鳥が好きだと思うなよ』もそうだったんだが、こういう本をもっと読みたいんだよ。

 

「ゲテモノを食べる」って、テレビのバラエティでも目にするネタで、だいたいお笑い芸人とかがイヤイヤ食べてる様子を笑うってパターンだと思う。

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【書評】徹夜ミステリー『数字を一つ思い浮かべろ』

 

数字を一つ思い浮かべろ (文春文庫)

数字を一つ思い浮かべろ (文春文庫)

 

 

ある新興宗教の代表者宛に届いた脅迫めいた手紙。そこには「1から1,000までの数字でひとつ頭に思い浮かべろ。浮かべたあとに同封の小さな封筒を開けろ」と書かれていた。


指示に従い一つの数字を思い浮かべて小さな封筒を開けると、そこには思い浮かべたのと全く同じ数字と「おまえが思い浮かべる数字はわかっていた」のメッセージが…

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【書評】魚にもやさしくなりたい。『魚たちの愛すべき知的生活』

 

魚たちの愛すべき知的生活―何を感じ、何を考え、どう行動するか

魚たちの愛すべき知的生活―何を感じ、何を考え、どう行動するか

 

 

「食べられる?」「おいしそう」「かわいい」「珍しい」「気持ち悪い」くらいのレベルでしか見ていなかった魚たちが、多様で色とりどりの世界を持つ愛しい生き物に見えるようになった。

 

漁業のことを「資源略奪型漁業」という言い方をすることがある。養殖の魚などもいるが、漁業の多くは天然の資源である魚を捕ることが多い。

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2018年下半期に読んだ本のベスト

今年は、長男6歳と一緒にゲームをたくさん遊ぶようになった。

 

スーパーマリオオデッセイに始まり、ニンテンドーラボの段ボールを組み立て、マイクラで家を作ってくれとせがまれ、今はポケモンLet's goピカチュウを休日の度に一緒に遊んでいる。めちゃくちゃ楽しい。描いていた理想の親子関係がここにある。

 

遊びたいゲーム、読みたい本、見たい映画は無限にある。そんな中でも、読んだあと印象に残った本はすべてブログに書いてきた。途中で飽きたり挫折した本もたくさんあるが、読んで得たものを記録しておくのにブログという形式は最高だと思っている。

 

というわけで、下半期に読んで特に印象に残った本たちを紹介したい。

 

◆ユービック

 

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)

ユービック (ハヤカワ文庫 SF 314)

 

 

今更Kindleで読んだ。
てか、kindleってこういう「今更読むもの」を読むのに最高だ。
場所をとらないし、思い立ったときに購入して読めるし、特にハヤカワSFは定期的にセールもしてくれるので安くなったタイミングで買っておいて、暇なときにタブレットでもスマホでも自由に読める。

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