Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

教育を考え引越しを決意した友人の話

昨年末、大学時代の友人と飲みに行ってきた。

彼は僕と同じ県出身だが、結婚後に隣県へと引っ越し、奥さんの実家でマスオさん状態で同居していた。
そんな彼の家族は、今年の春から娘が小学生になるのを機に、彼の実家へと戻ることを決意したらしい。

戻ることを決意した最大の理由は、『教育水準に差を感じたから』とのことだった。


上のリンク先は、文部科学省の全国学力テストのランキングだ。彼の実家がある、僕たちの出身県は平均よりは高い順位にある。だが、彼が今のところ住んでいる隣県は、下位から数えたほうが早い。
このランキングは2015年のものだが、それ以前のデータでもだいたい同じ結果、ひどいときは彼が今住んでいる隣県はボトム5に位置していたこともあるらしい。

あくまで平均結果だし、これで何がわかるんだとも言いたくなるが、彼はさらに生まれも育ちも隣県である自分の妻や、妻の兄弟に「教養がない」と批判しだした。
自分や自分の家族が当然知っている、教養や雑学の類の知識量が全然違うというのだ。学校で習う大筋のこと、教科書に載っていることは同じ程度知識があるが、それ以外の教養には明らかに差がある、と彼は断言した。
それはたまたま君の家庭と奥さんの家庭環境の違いじゃないの?と突っ込んでも、彼はさらに「教育委員会の違い」まで持ち出した。
教育委員会や学校の方針の違いにより、出身県と隣県では授業内容や宿題の量に差があるというのだ。これは彼の仕事の顧客に学校の先生がおり、そこから仕入れた「信頼性のある」情報らしい。結局彼周囲のコミュニティー範囲内に収まった情報しか出ていないが、彼はそういった複数の要因を絡めたうえで、現在住んでいる隣県よりも出身県に戻ったほうが子供の教育のためになると判断し、実家へと戻る決意をしたらしい。

若干、自分の考えを盲信しすぎな気もするが、彼の気持ちもよくわかる。
我が家でも、家を建てた場所は「子供の教育ありき」で考え、条件を満たした立地にしたからだ。
田舎なので、公共交通機関による移動手段は限られる。僕の実家は実際、最寄り駅には車を使わなければ行くのが大変な距離だ。バス路線も年々廃線が増えて、本数も減っている。子供の数も年々減っており、小中学校は廃校が相次ぎ、僕の出身小学校も数年前に廃校になった。そのため、最寄りの小学校がなくなり、スクールバスで通学する必要がある地区が多くなった。部活動などで学校に遅くまでいた場合、バスの時間によっては帰宅難民になりかねない。こうなると、親が迎えに行くしかなくなる。共働きの核家族では無理ゲーだ。親の都合で子供たちの選択肢を狭めてしまう。

子供のことを考えるなら、小中学校が近くにあり、高校進学後も、電車やバスなどの交通機関により選択肢が狭まらない環境を提供したい。そういった条件を踏まえ、自分の実家の近くは避け、隣接する市内にて新居の候補地を探した。学校や駅との距離が近く、また自分たちも通勤に支障の出ない立地で決めたのが今の自宅の場所になる。土地代は高くついたが、そのための投資なんだから仕方ない。

別にド田舎でも優秀な人材は生まれるだろうし、条件を整えても期待どおりにいかないことだって多いだろう。親がいくら知恵を絞ったところで、どこまで子供のためになるのかはわからない。『子供のため』という自己満足に過ぎないのかもしれない。
それでも、やれることはやりたいなと思うのが、親心なんだろうか。