Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

ちいさなこどもの雨と傘

今朝は小雨が降っていた。

パラパラと、傘をさすほどでもない小雨。
自動車通勤なので、弱い雨の日には傘をさす必要がなく、持っていかないことも多い。
 
だが、我が家にはどれだけ弱い雨でも傘を持っていく人たちがいる。息子と娘だ。
 
子供たちも当然僕の車で保育園に登園させるし、保育園の駐車場も玄関の目の前なので、豪雨でもない限りは傘がなくてもほとんど濡れない。
 
だが、子供たちは「雨の日に傘をさす」という行為自体に楽しみを見出しているようで、どんなに弱い雨の降りでも、「雨だ!傘さして行こう!」と傘立てにある自分の傘を取り出し、玄関でおもむろに広げようとする。
 
まず、当たり前だが玄関の中で傘を広げたらドアの幅に引っかかって外に出られないよということを注意する。
そのうえで、雨だから僕は事前に玄関の真ん前に車を持ってきているので、むしろ傘をさすと邪魔になって車に乗りにくいから必要ないんじゃない?と息子に言い聞かせる。
だが、息子のほうはとにかく傘を差したくて仕方ない気持ちが強いので、「傘ささなくても大丈夫」と言うこちらの語り掛けなんかは全く耳に入らない。
 
朝の出勤時間で焦っているときなんかは「傘いらないから!早く車乗って!」とこちらも急かす言葉をかけるのだが、それに対して3歳の息子の反応は「傘ないと濡れちゃう!」と、頑なに「自分は傘をさす」宣言を返してくるのみ。
 
まだ外に出ていないし、雨も弱いのに水掛け論をしている。雨だってそんなに掛からないと思うのに。
 
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そんなやり取りを3歳の息子とするんだが、当然のように1歳の娘も「自分の傘」をさしたがる。
 
子供用品店で売っている、一番小さいサイズの傘を娘用に買ってあるのだが、まだ自分の身長とほとんど同じくらいの大きさの、言わば「身の丈ほど」の傘を一生懸命さそうとする娘。体のサイズからするとまるで斬馬刀。
 
「娘ちゃんはパパと抱っこで行けば傘いらないんじゃないかな…?」と、やんわり傘を取り上げようとすると、「い゛ーっ!!」と抗議して頑なに傘を離そうとしない。斬馬刀を持っているのに役割はじゃじゃ馬。ことわざにすれば、「鴨がネギを背負っている」かな、いや違うな、というのが頭に浮かぶ。時間の無駄だし朝から疲れる。
 
そんなこんなで、小雨の中、玄関から3歩の位置につけた車まで傘をさして移動し、傘を閉じて車に乗り込む子供たち。
保育園に着き、車から保育園の玄関まで10歩くらい距離をまた傘をわざわざ広げて歩く子供たち。トータル5メートルくらい。
君たちが傘を取り出す緩慢な動きの間に、パパは傘をささずにいたから余計に濡れてしまったよ。そんなことはどうでもいいんだろうけど。
 
自分の傘を使った子供たちはご満悦の表情で保育園に入っていくが、今度はその傘を個人の持ち物なのでわかるように保育園に預けなければならない。
ただ荷物と手間が増えただけで仕事に遅れないか不安な僕はひたすら焦っている。焦りと湿気で眼鏡は曇り、余計にストレルフル。いろんな意味で天に見放された気分。
 
なんとか子供たちを預け、保育園の玄関から自分の車に戻る。
 
すると、正面から歩いてくる親子が目に入った。
我が家とまったく同じく、小さな体に対しモンハンの大剣のように大きな傘を自慢げに振りかざす男の子と、その後ろをノロノロとついていくしかできない傘をささない母親という構図で、車から保育園の玄関への数メートルを歩いていった。
 
やっぱり、どこの家でも同じ現象が起きていると認識し、小雨が降り続くなか少しだけ晴れ晴れとした気持ちで仕事へと向かった。