Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【お題】青春の一冊『グレート・ギャツビー』

特別お題「青春の一冊」 with P D MAGAZINE
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グレート・ギャツビー (新潮文庫)

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

僕は大学時代、村上春樹の『ノルウェイの森』を読んで、お洒落で羨ましい大学生活だな~なんてぼんやりと影響を受け、こんなふうに「なぜか妄想通りにモテはじめる」ことに憧れたりした。


主人公の愛読書だった『グレート・ギャツビー』を僕も読んで、主人公と同じく『グレート・ギャツビー』が大好きキャラになりきり、電車の中やバイトの休憩時間なんかに『グレート・ギャツビー』の文庫を取り出しておもむろに読み始めるのをカッコいいと勘違いしていた。


とても痛々しい。けど、そんなのも大学生としての様式美とも思える。今まさにそれをやっている大学生だっているだろう。


『グレート・ギャツビー』は全然モテアイテムではなかったし、今読んだら面白さはわかるけど、それだったらジャック・ケルアックの『ザ・ロード』でも読んでいたほうがよかったと思う。あれは青春の甘酸っぱさや爽やかさがふんだんに盛り込まれた、まさに青春の一冊にふさわしいと思う。僕がこれを読んだのは20代も後半になってから。何だか逆に寂しさばかり感じて、なんで若いうちに読まなかったんだと後悔したくらいだ。


そう、思い返せば、青春の出来事は後悔ばっかりだった。もっとたくさん友達を作っていれば、もっとあしゃれに気を使っていれば、もっと女の子と喋っていれば…


そもそも青春てなんだろうと思ったりする。青春=学生時代、特に中高生の頃ってイメージがあるけど、社会人が青春はダメとも思えない。


サークル、恋愛、合コン、自分探し、学生時代に限定せずに、そういうのに浮かれている時期を青春と言うのは間違ってはいないんじゃないかとも思う。

逆に言えば、結婚して子供が生まれて家も建ててあとは仕事と育児をひたすらこなすだけの僕に、青春要素は皆無だ。


周囲の、まだ独身の友達を見ていると、未だに青春のただなかにいるように見える人たちもいる。


僕は友人が少ないが、こんな僕の数少ない友人の中にも2人ほど、社会人を数年経験した後仕事を辞め、海外留学やバックパッカーとして世界を周ったやつがいる。


それなりの大きな会社に就職して、終身雇用でほぼ間違いなく定年まで過ごせる環境にいたのに、その仕事を投げ出して世界へ飛び出していった。夢を優先させたわけだ。


今の僕にあるのは、そういうのが羨ましいと思う気持ちがほんの少し。今の僕には無縁になったなという寂しさが大半。


きらめくような青春はもうやってこないし、あえて今の生活をかなぐり捨てて世界へ飛び出そうなんていうのは、今現在の家庭を持った僕からすればむしろ絶対嫌だ。


『グレート・ギャツビー』のジェイ・ギャツビーは、若くして築き上げた富をド派手に使いまくって5年越しの自分の恋を成就させようとする。それは若かった頃の、青春の頃の想いを引きずってのことに他ならない。


金にモノを言わせるのを青春と呼ぶのはいかがかとも思うが、アラサーでも青春まっただ中にいることは、決して悪いことじゃないとも感じた。