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Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評※虫注意】奇抜なデザイン大爆発『ツノゼミ ありえない虫』

読書

 

 

ツノゼミ ありえない虫

ツノゼミ ありえない虫

 

 

 タイトル通り、ありえないデザインをした虫のオンパレード。「ツノゼミ」という種類の虫しか出てこないのに、なぜこんなに多様で奇妙で面白いのか。生物の不思議を存分に味わえる。

 
カンブリア爆発ってご存じだろうか。テレビ東京の有名番組「カンブリア宮殿」の由来にもなった、約5億年ほど前の「カンブリア紀」の多種多様な形態の生物たちが爆発的に発生した時期。
バージェス動物群と呼ばれる、今の生物群としてはどれにも属さないような奇妙奇天烈な形状の生き物たち。かの有名なアノマロカリス、ハルキゲニア、ピカイア、オドントグリフス…名前とデザインだけでもうワクワクが止まらない。
 
詳しく知りたい場合はスティーブン・ジェイ・グールド著『ワンダフル・ライフ - バージェス頁岩と生物進化の物語』を読んでみるといい。

 

 

 

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

ワンダフル・ライフ―バージェス頁岩と生物進化の物語 (ハヤカワ文庫NF)

  • 作者: スティーヴン・ジェイグールド,Stephen Jay Gould,渡辺政隆
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2000/03
  • メディア: 文庫
  • 購入: 15人 クリック: 164回
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少し古い情報でハルキゲニアが上下逆になってたりするんだが、カンブリア紀の面白さを知るのにうってつけの入門書。文庫化されているので生物好きな人は一度は読んでおくことをおススメする。
 
 
話が脱線したが、ツノゼミたちを見ていると、カンブリア紀の奇妙な見た目をした多様な生き物たちを思い出す。
バージェス動物群と違ってツノゼミは一つの生き物の派生ではある。が、それでもその多様性、奇妙さ、不思議さは際立っている。
進化というものは生き残りをかけたリアリズムの極地で、そこに遊びの要素なんて皆無だと僕は思っていた。だが、ツノゼミたちを見ているとまだまだ実験段階なのか、それともこれが完成形で、進化の着地点には意外と遊びとか余裕があるのかと、今までの固定概念を見事に打ち破られた。
 
そもそも、ツノゼミって何なの?ってところから説明すると、名前のとおりセミにツノが生えた…わけではなく、セミと違って体長は数ミリから大きくて数センチほど。日本でも16種類ほど記録されているが、世界では3200種類ほど記録されている。見た目はカメムシやヨコバイ(稲の害虫)に似ており、最大の特徴は胸部背面に奇妙な「ヘルメット」と呼ばれるツノや構造物を持っている点。
 
表紙からしてぶっ飛んだデザインのツノゼミたち目白押しだが、特に表紙の左側下から2番目のヨツコブツノゼミのデザインが凄い。本編8ページにはもっと大きい写真が載っていてわかりやすい。
背中から伸びたツノは5本に枝分かれし、そのうち前方の4本の枝の先端はコブのような丸みを帯び、残り1本は後方へ長く伸びている。完全にアンテナだ。米軍が開発した昆虫型マイクロ偵察機と言われても違和感ない。
 
そして、このツノやコブが何の役に立つのか「よくわかっていない」という点もツノゼミたちの魅力の一つだ。
 
はっきり言って邪魔だし、カモフラージュに役立つとも思えない。むしろ目立つし、何処か狭いところに体をひそめるときには絶対引っかかる。
なぜ、こんなものを生やしたり、独特なデザインになっていったのかは、わかっていない個体がほとんど。そういったツノゼミの生態の話も、本書では写真とともに面白い解説がたくさんある。
 
面白生物の写真集としても、読み物としても最高。奇妙な生き物にワクワクしたい方は是非どうぞ。
 
ちなみに、同じ著者で『きらめく甲虫』という本も面白かったので、興味あったら下の記事も読んでみてください。