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【書評】子育てに正解はない『ほめると子どもはダメになる』

 

ほめると子どもはダメになる (新潮新書)

ほめると子どもはダメになる (新潮新書)

 

 

僕は常々、育児書を読むのは親の自己啓発が最大の目的なんじゃないかと思っている。

 

子育てに正解はない。
だから、本書のタイトルである『ほめると子どもはダメになる』を目にしたときに、「ああ、ほめちゃダメだったのか!」なんて短絡的に考えるのは間違っている。


当然、なぜダメなのかの理由を探る必要があるし、逆に言えばそれでも褒めるべきケースというのがよく見えてくるはずだ。

 

読み手の視点を広げて、柔軟な思考を持つためにこういった育児書を手に取るのはアリだと思うので、僕は今でも育児書を読み続けている。

で、本書はタイトルのとおり、『ほめる』に重点が置かれた傾向にある昨今の育児指南に対してのアンチ意見だ。

 

冒頭から売れまくった『尾木ママの「叱らない」子育て論』を引き合いに出し、「叱らないことが大切」というアプローチに対して異を唱えている。

 

ただ、本書の中身は、ほめたらダメの一辺倒ではない。ほめることによって得られる良い影響も書かれている。


そして逆に、ほめるシチュエーションや、ほめ方によって子供の成長にどういう影響があるかも書かれている。

 

例えば、子供にパズルをやらせてみる。
そのパズルが完成したとき、「このパズルを完成させたのは、君が『頭がいい』からだ」とほめた場合と、「このパズルを完成させたのは、君が『頑張った』からだ」とほめた場合では、次に挑戦するパズルを選ぶ際、前者の場合は簡単なものを、後者の場合は難しいものを選ぶ傾向が出たそうだ。

 

つまり、「天才だ!」なんてほめ方をすると、次からも必ず成功しなきゃならない、化けの皮を剥がされたくないという気持ちになり、失敗しない簡単な道を選ぶ傾向が出る。
逆に、頑張ったという過程をほめれば、次からもチャレンジ精神を発揮してみようという気持ちを子供に芽生えさせることができる。

 

ただし、これも絶対ではない。あくまで統計的な話だ。最初に言ったが、子育てには正解はない。

 

ただ、著者の言う、叱られ慣れてないからすぐに心が折れたりする子がいるというのは、確かに問題だと感じる。要はバランス感覚の問題だ。


活発な子もいれば引っ込み思案な子もいる。だから一概にほめたらダメ、叱ったらダメ、そんなことはあるわけない。


そのバランス感覚を養うのが親の務めであり、安易に「ほめる子育てをします!」と固定観念に囚われることこそが危険なんじゃないかと感じる。

 

「ほめ方」「叱り方」に迷ったら、一読してみてはいかがだろうか。