今週のお題「プレゼントしたい本」
本のプレゼントって、意外と難しい。
普段本を読まない人に、ただ「自分が面白かったから」という理由でプレゼントしてみると、全然読んでくれなかったなんてことが結構ある。
例えば、僕の好きな「若きウエルテルの悩み」を“一応読書好きの友人”にプレゼントしてみたところ、それを読んだ友人は「なんだよあの本!主人公ウジウジしすぎで何が言いたかったのかわかんねえよ!」と言われたことがある。そのウジウジを読まされることがあの小説の醍醐味なのだが、そう感じない人にとっては面白くもなんともないのは事実。
これは読書に慣れているかとか普段からよく本を読むかということとは関係なく、映画や音楽の好きなジャンルが人それぞれ違うのと一緒で好みの問題だと思う。
なので、ひとに本をプレゼントしたりおススメしたりするのには、単に好みの雑貨とかをプレゼントするのとは違い、その人の好みをかなりよく掘り下げたうえでピックアップする必要があると僕は考えている。
だから、単に「何か面白い本教えて」と聞かれてすぐに答えるのはどうも苦手だ。
それでも、「プレゼント」となると、本そのものの装丁の美しさなどで 、「本棚に置いておくといい感じになる」本もたくさんある。
というわけで、ある程度相手の好みに合わせたうえで、贈り物として適してるかな、と個人的に思える本を紹介したいと思う。
◆感動小説『ワンダー』
顔に奇形のある男の子が初めての学園生活で成長していく様を、その男の子本人や周囲の家族、友人など様々な視点を通して描写していく小説。青色の装丁が美しくて、表紙の絵も物語の中を想像させてくれてワクワクする。
感動系の小説は好きじゃない、という人が稀にいるので、そういう人を除けば誰にでも読みやすくておススメできる。
◆とにかく読書が好きな人には『グールド魚類画帳』
- 作者: リチャード・フラナガン,渡辺佐智江
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2005/06/25
- メディア: 単行本
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タスマニアの海水が侵食する独房に囚われた囚人が描いた魚の絵と、その魚にまつわる現実なのか妄想なのかわからない手記。
装丁もなんかおしゃれで、なおかつ中身も他にない体験ができる小説。読書が好きで、今までにない面白い本を読みたいという人がいれば、ぜひこの本を贈っていただきたい。それよりもまず自分でも手に入れてください。
◆3歳前後の子供がいる人にプレゼントする絵本『11匹のねこ』
結構古い絵本だが、今読んでもストーリーが面白い。単純にうちの息子がお気に入りだったというのもある。
昔の本だからか、結構激しい表現もあって、息子は読むたび爆笑してくれた。絵もかわいいので、万人にオススメできる絵本。
◆もう少し大きな子供のいる家庭なら『生きものたちのつくる巣109』
タイトルまんま。いきもののつくる巣を、かわいいイラストで詳しく紹介してくれる。
図鑑ぽい見た目だけど、読み物としても面白い。本棚にあるとつい手が伸びる。
巣の断面図で構造がわかりやすく解説されていて、大人が読んでも充分楽しめる。小学生くらいのお子さんにオススメ。
◆なんでもいいからおしゃれな本を贈りたいなら『奇妙な孤島の物語』
奇妙な孤島の物語:私が行ったことのない、生涯行くこともないだろう50の島
- 作者: ユーディット・シャランスキー,鈴木仁子
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2016/02/26
- メディア: 大型本
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50の「孤島」を、左側のページにシンプルな地図、右側のページにその島にまつわる奇妙な、ちょっと現実離れしたようなストーリーで紹介している。ただそれだけの本。
これを読んで「この島に行きたい」とはならない。ノンフィクションなんだけど、フィクションのような奇妙な物語を、このシンプルなデザインで読むための本。
読んで面白くて、飾っておしゃれ。個人的には一番プレゼントとして誰かに贈りたい本だ。
◆◆◆◆
僕は、なかなか友人に本を贈る機会に恵まれたことがない。できたら「子供が生まれた友人に本を贈る」ってシチュエーションを味わいたいんだが、なかなかそんなタイミングが巡ってこない。早くプレゼントできる日が来るのを待って、これからも人にプレゼントできる、面白くて見た目も美しい本を探していくと思う。