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Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評】『ルポ ニッポン絶望工場』

 

ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)

ルポ ニッポン絶望工場 (講談社+α新書)

 

 

今月の頭に、初めてAmazonプイライムに登録してみた。年3,900円で、商品の配送料無料、さらに時間指定便と、当日配達も可能になる。ほかにAmazonビデオやAmazonミュージックとかも利用できて、年3,980円、月に換算すると325円。激安でこれだけ素晴らしいサービスが利用できて、なんで今まで使ってなかったんだろうと思った。

 

で、先日、初めてAmazonプライムの「即日配達」を利用してみた。朝の8時頃、スマホから商品を注文。僕の家は茨城なので、本当に当日中に配達してくれるのかと心配していたが、しっかりその日の19時頃に配達された。
本当に当日届くなんて凄いな、と思ったのと同時に、年額たった3,900円の対価サービスとしては過剰なものにも感じられ、使っておいてなんだけれど少し居心地の悪い感覚にもなった。

 

この商品を配達してくれたAmazonの向こう側には、サービスを成立させるための労働者がたくさんいる。

 

昨今、コンビニの店員、深夜の弁当工場、宅配便の仕分け作業所などで、たくさんの外国人労働者の姿を見るようになった。こういう人たちは自分の意思で渡航してきた留学生や出稼ぎ労働者で、昼間に学生として勉強して夜は工場などでアルバイトをしている人たちなのかなと勝手に思い込んでいたのだが、どうやら違うらしい。

 

本書によると、最近はベトナムからの外国人労働者が増加しており、その多くはベトナム本国にて留学生を斡旋するブローカーに、半ば騙されたような形で日本にやってきた人たちが多いそうだ。
「日本に行けば日本語学校で勉強しながら働くことで月20~30万円の金額を稼げる」などという甘い文句で留学希望者を勧誘し、渡航費用や日本語学校の入学、学生寮と称したアパートの借り上げ料として150万円ほどを徴収した後に日本に送り込む。本国に残る親族への仕送りのために、借金してまで渡航費用の150万円を用意する人もいるそうだ。

 

実際に日本に来てみると、まだ日本語もろくに喋れない学生にあてがわれるのは工場のラインなどの単純作業のアルバイトばかり。しかも、外国人ということで時給は最低賃金。昼間に学校に通いながらのアルバイトで20~30万も稼げるはずがなく、収入は良くて月に10万円程度。そこから寮の家賃や学費などを引かれ、学生の手元に残るのは数万円程度。これでは仕送りどころか本人の生活さえままならない。そのため睡眠時間を削ってアルバイトの掛け持ちなどをし、なんとか収入を増やしても今度は日中の学校生活がままならなくなり、日本語が上達しないまま学校の期間を終え、その後の就職先を見つけられないまま不法滞在を続けながらアルバイトを続ける留学生も多いという。
「本国に帰りたいけど、帰ったところで借金を返済するほどの収入は本国では得られないので、仕方なく日本で働いている」「日本語学校に在籍はしていたが、ほとんどの時間をアルバイトに費やしたためにたどたどしい日本語しか話すことができない」などの理由により、日本語の能力に関係ない食品加工工場などのライン作業を最低賃金で使い倒され続けることになる。

 

母国から遠く離れた日本で、頼れる身内もなく、安い賃金でひたすら働き続ける外国人労働者。高収入を得て豊かな暮らしをするという「希望」を持って日本に来たはずなのに、気が付けば「絶望工場」の歯車に組み込まれてにっちもさっちもいかなくなってしまう。
こうして搾取され続ける苦しい現状に追い込まれたがために、犯罪へと走るものも多くいるという。ごく単純に「生きるため」「金のため」に窃盗や暴力などの犯罪へと手を伸ばす外国人。豊かな日本のサービスを維持するためには、今後も外国人労働者の数は増え続けるだろう。そんな外国人たちに犯罪という形でしっぺ返しを食らう日本のこれからを想像すると、ディストピアへと突き進んでいるように感じてしまう。

 

長時間労働、低賃金、少ない休日などのブラック企業問題が、さも日本国内における日本人だけの問題であるかのように騒がれているが、今や外国人はブラックな環境で働かせることが一般化してしまっている。半ば騙されて日本にやってきた彼らは、ネット上で自分たちの惨状を声高に叫ぶこともできず、誰の目にも止まらずに搾取され続けている。そして、今後も外国人労働者は増え続けていくだろう。もはや彼らなしでは日本のサービスを維持することができないところまで来ているからだ。

 

そんな絶望工場の上で成り立つ、我々の豊かな暮らしは、いったいいつまで何食わぬ顔で維持できるのだろう。こういった背景の闇にスポットを当て、解決へ導いていかない限り、いずれ破たんへと向かっていくのは目に見えていると思うのだが。