頭がいい子の家のリビングには必ず「辞書」「地図」「図鑑」がある
- 作者: 小川大介
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2016/03/17
- メディア: 単行本
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4歳の長男を見ていると、教育って難しいとつくづく感じる。
言葉でのコミュニケーションは、ほぼ滞りなくできる。自分で食事、トイレ、着替えなどの身の回りのことはできるし、こちらからの「お手伝いして」とかのお願いを聞くこともできる。
ここまで来ると、そこから一段上がった「教育」をどうしようかということはとても悩ましい問題になってくる。
ひらがなを読む、数字を数える、なんて基礎になる部分をどう教えるか。個人差はあるだろうが年長さんになるころにはみんなひらがなを一通り読めるようになっているイメージだし、人によっては子ども英会話に通って簡単な自己紹介を英語で出来るようになっている子さえいるだろう。今の段階でどこまで教えてあげたらいいのか、この疑問に答えはない。
「ひらがな」「数字」以外にも、本人にとって興味のある分野の確立についてもどうしたらいいのかが悩ましい。
例えばうちの子は普通の男の子の例に漏れず「電車」「車」が好きで、ほかに海の生き物なんかにも興味がある。テレビで海洋生物関連の番組を見ていると楽しそうにしているので、じゃあそれに関連した本なんかを読ませてあげようと考えるんだが、絵本の延長線上にあるようなものがいいのか、それとも子ども向けの図鑑みたいなのを用意したほうがいいのか。
本書は、そういった子どもたちの知的好奇心の刺激のために、親たちがどんな行動をとってあげたらいいのかについての一冊だ。
タイトルのとおり、子どもの教育のために是非リビングに「辞書」「地図」「図鑑」を置きましょうという著者。教育のために「図鑑を読め」ということではなく、「図鑑を置くだけでいい」としている。何故か。
それは、とにかくすぐにに調べられる環境を整えることが重要ということだ。
例えば、スーパーに売っている海苔を見た子どもが「お母さん、海苔ってどうやってできるの?」という疑問を投げかけてきたときに、「海藻だから海にできるんだよ」という答えのみで完結するのではなく、「海で育つんだけど、どうやって売っている海苔になるのか帰って一緒に調べてみようか」という「一緒に調べてみる」という行為に向かせることこそが、子どもの疑問に答える上での満点の回答であると本書はしている。
子どもの「なぜ、どうして」に対して簡潔な答えのみで終わるのではなく、自分の力で調べて答えを導き出すことによってより知識や理解のの深さへと繋がる。
興味がある、好きな分野に対して調べたい、もっと知識を深めたいということは、先日読んだ『子どもは40000回質問する』においても同じことが言われている。
人は、全く興味のないこと、逆にほぼすべて知り尽くしていることに対してはあまり好奇心がわかない。「少し知っていること」こそが最も興味がわきやすく、知識を深めていくことに喜びが伴う段階であるのだ。
そういう、物事を調べたい、もっと知識を付けたいと思ったときに重要となるのが、いつでも調べて知識を深められる環境が整っていることであり、それこそが本書のタイトルとなっている”リビングに「辞書」「地図」「図鑑」”がある環境なのだ。
「子ども本人が興味を示すかわからない」「買っただけで無駄になりそう」といった疑念を抱かずに、辞書や図鑑を置いておくだけでも意味があると著者は言う。うちの子は興味がなさそうとか、女の子だから図鑑なんて見ないだろうといった先入観を捨て、どんなジャンルの辞書や図鑑でもとにかくすぐに触れられる距離に置くことこそが重要であるとしている。極端な話、同じジャンルの図鑑でも本当に興味があるなら何冊でも揃えてあげるべきだと。
本書の後半では、どんな図鑑や辞書をそろえてあげるといいのかというガイドブックの役割も備えている。それを見ると、今はこんなに「読み物としても面白そうな」図鑑がそろっているのかと驚かされる。大人が読んでも充分楽しめそうだ。裏を返せば大人も一緒に調べて楽しむのもとてもいいことだろう。
日頃から悩ましい幼児期の教育という点に関して、子どもと一緒に楽しく学ぶというのはとても良い答えとなってくれそうだ。