以前上半期のベストを紹介したので、今回は下半期のみで面白かった本を選出。
ちなみに上半期のベストはこちら。
上半期に比べると、下半期は9月に次男が生まれて、10月にフルマラソンを走ってとなんだかんだで読書時間が減ってしまい、20冊くらいしかまともに読むことができなかった。
そんな中で、特に面白かったなと感じたものを紹介したいと思う。
まずはフィクション部門
『百年の孤独』
百年の孤独 (Obra de Garc´ia M´arquez)
- 作者: ガブリエルガルシア=マルケス,Gabriel Garc´ia M´arquez,鼓直
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2006/12
- メディア: 単行本
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いまさら面白かったと紹介するまでもないような本だが、読んでみてわかる凄さってものがある。
孤独に捉われた一族の栄枯盛衰の物語。登場人物たちは孤独に戦い、読んでいるこちらも孤独になる。何せ話が複雑に絡み合いすぎて置いてけぼりを食らうから。
それでも、この圧倒されるような面白さは何なんだろう。ラストの寂寥感は、長い長い小説を読み終えたときにしか感じられないものだと思う。
『鬱ごはん』
僕は施川ユウキが好きだ。高校生の頃『がんばれ酢飯疑獄!』に出合い、その視点やスタイルに衝撃を受けた。あまりにもツボ過ぎて、まるで自分の心を覗かれているような気分になった。
そんな施川ユウキ作品の中でも、特に共感してしまったのが本書。まるで別な人生を歩んだ自分を見ているような気分になる。孤独が好きで、プレッシャーから目を背けて気ままに生きてみたいと思ったことがある人なら、きっと鬱野に自分を重ねてしまうと思う。
『あなたのための物語』
『死すべき定め』を読んで、『イワン・イリイチの死』など死について書かれた作品を読んでみようと思い手に取った一冊。
「人間は必ず死ぬ」を揺るがす時代がもうすぐやってくる。「死」は人間らしさか?テクノロジーで乗り越えるべき壁か?ひとりの科学者の死をとおして考えさせられる小説。30代でバリバリ働いている世代に読んでほしい。身につまされて妙に息苦しい思いをしながら読むことになると思う。
続いて、ノンフィクション部門
『ルシファー・エフェクト』
- 作者: フィリップ・ジンバルドー,Philip Zimbardo,鬼澤忍,中山宥
- 出版社/メーカー: 海と月社
- 発売日: 2015/08/03
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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大学の地下を改造した刑務所を舞台に、新聞広告などで集めた被験者を「看守」と「囚人」役に分け、それぞれの役割を2週間にわたって演じさせ、心理的にどんな変化が起こるかを観察した「スタンフォード監獄実験」における、実験の顛末。そしてそれ以外にも様々な現象によって露わになる、人間の持つ悪意について様々なレポートの纏められた一冊。
悪意に自覚がない状態が、いかに簡単に発生するかが肌で感じられる。単純に読み物として面白いので、少しでも興味があれば是非手に取ってほしい。
『生物はなぜ誕生したのか』
今わかっている、地球誕生から生命発生、進化、そして現在までの科学的な歴史を網羅した本。これ一冊読んでおけば今後しばらくは「地球のすべて」に関しての知識に困らない。恐竜のこととか氷河期のこととか興味ある部分だけ拾って呼んでも面白い。
『モンスター・マザー』
モンスターマザー:長野・丸子実業「いじめ自殺事件」教師たちの闘い
- 作者: 福田ますみ
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2016/02/18
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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2005年12月、長野県の丸子実業高校で起きた、男子生徒の自殺にまつわる事件とその後の戦いの顛末。
いじめ自殺事件で「戦う」のは遺族かと思いきや、実際に戦ったのは学校関係者たち。この事件は自殺した男子の母親による「いじめのでっち上げや学校関係者に対する名誉棄損であった」という、とんでもない結末を迎えるんだが、そこに至るまでの経過が凄まじい。いじめがなかったのになぜ自殺した?しかも学校関係者に名誉棄損?こんな母親本当に実在するの?と、とにかく衝撃的な事実が続く。読んでいるだけで心拍数が上がるようだ。
強烈なノンフィクションを読みたいなら是非。
『死すべき定め』
人間はいずれ死ぬ。寿命をまっとうし、家族に看取られながら最期を迎えたいと思う人はたくさんいると思うが、最近は望んでいない介護施設などで寝たきりのまま寂しい最期を迎えるひとが多い。
寿命にしても病気にしても、結局どこまでは元気でいられるかはわからない。だからこそ、本人が望むような最期を迎えるためにはどうするべきか、医療や環境が配慮しなければならい面はたくさんある。いずれやってくる死すべき定めと向き合うための準備として読んでおきたい本。
『一汁一菜でよいという提案』
仕事から帰宅後、晩御飯を作る時に「ごはん、味噌汁、主菜、副菜を2品」くらいが最低レベルだと勘違いしていた僕をガラリと変えてくれた本。
今まで「これとこれとこれを食べさせなきゃ」と考えていた夕食の準備を、「まずはごはんと味噌汁、あとは子どもたちが食べたいと言ったもの」を作るように変えた。もちろんある程度バランスは考慮するが、無理に品数を作るのをやめてからは、かなり時間に余裕ができるようになった。
品数の多さが愛情の深さじゃない、楽しく美味しい食事を家族と一緒に取ることが重要だと気付かせてくれた一冊。
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年間ベスト
『ストーナー』
平凡な人生を歩んでるつもりなんだが、それでも起伏はたくさんある。次男が生まれ、生活スタイルは赤ちゃんが中心。穏やかに暮らしたいと望んでも、イライラしてどうしようもなくなることもある。仕事と家庭に自分は振り回されているのか?ままならない人生は戦いの連続だ。
本書の主人公もまた、寡黙に自分の人生と戦い続けている。読み返すたび、自分が重なり涙が止まらない。間違いなく、今の僕を助けてくれている一冊。
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下半期に読んだ本を見返していたら、SF好きを自称しているのに全然SFを読んでいなかったことに自分で驚いてしまった。というわけで、年明けは積ん読していたSFに手を付けようと思う。小川一水とかチャイナ・ミエヴィルとかからかな。