本書は、様々なものの『寿命』をイラスト付きで面白く紹介してくれる図鑑だ。『寿命』というとイコール生きものの寿命のことと思うが、本書で紹介しているのは植物や日用品や宇宙まで、300種類以上のさまざまなものの寿命について教えてくれる。
図鑑って本来「知らない生きものや草花を調べる」ためのものだが、調べたい対象がいなくても昆虫や宇宙の図鑑を眺めるのが好きな人は多いと思う。僕も子どもの頃そうだった。
今は読み物として面白い図鑑がたくさんあり、最近僕が読んだものでは『生きものたちのつくる巣109』と『ざんねんな生き物事典』が面白かった。本書もそれらに負けないくらい面白い。
例えば、「モノ」の寿命のページ。靴や歯ブラシなどの身の回りのものの寿命について書かれている。最初に来るのが「鉛筆」で、鉛筆って実はフルマラソンより長い50キロメートルもの線を書くことができるそうだ。しかも、未使用なら鉛筆の寿命は半永久的らしく、約400年前に作られた最古の鉛筆もいまだに書くことができるらしい。こういった、身近なものの知らなかったエピソードを得ると、なんだか鉛筆が愛おしく感じてきたりする。
生々しいところだと、「からだ」の寿命というのがあり、「骨」や「心臓」などのからだの器官についての寿命も知ることができる。
舌の表面で味を感じる「味細胞」や、鼻の奥でにおいを感じる「嗅細胞」なんて聞きなれないものの寿命もあり、味細胞は約10日、嗅細胞は約30日で新しい細胞に入れ替わるらしい。それだけ味覚や嗅覚は繊細な器官ということなのだろうし、何より自分の舌の上の細胞は勝手に10日サイクルで新しいのが生まれていたのかと知るに至り、大人が読んでもなるほど~とため息が出た。
こういうのを読めば、図鑑が嫌いになるということは絶対にないはずだ。むしろ、自分が好きな、興味を持とうと思う分野を得るために、こういった面白い図鑑がどれだけ役に立つことだろうか。
本書は図鑑でありながら、生あるものは死に、形あるものは壊れるという、「もののあはれ」的な要素も学ぶことができる。うちの長男は今年の5月で5歳。そろそろ、こういった本で命の終わりについて学ばせてみるのもいいかなと思ったりした。