- 作者: フィリップ・K・ディック,浅倉久志
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 1978/10/01
- メディア: 文庫
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個人的に、ミステリーには2種類のパターンがあると思っている。
ひとつは、初めに大きな謎がドーンと提示されて、それについて主人公たちが徐々に解いていくパターン。
J・P・ホーガン『星を継ぐもの』とかが好き。最初の謎のインパクトが大きいほうが引き込まれやすいし、それが解けていくカタルシスが読んでいて気持ちいい。
もう一つが、後半にどんでん返しが待っているパターン。
殊能将之『ハサミ男』あたりが有名だけど、個人的に好きなのはピエール・ルメートル『その女アレックス』。
普通に読ませておいて最後に大きなどんでん返しが…ではなく、途中途中で奇妙な事件や現象が起きて「何だ…これは…!?」と読者を引き込んでおいて、最後にその謎が解けるというパターンが大好きだ。
『その女アレックス』は「何が起きているんだ…?」がものすごく膨らんで、最後のどんでん返しも凄まじかった。未読の方は是非読んでください。
前置きが長くなったが、今更読んだフィリップ・K・ディック『ユービック』。古典SFってだけで読む人を選びそうなんだが、中身は素晴らしいミステリーだった。
ちょっと前にあったKindle版のセールで購入し、そのまましばらく積読していた。
寝付けない夜に布団の中でスマホで読み始めたら、あっという間に「な…何が起きているんだ…!?」の世界に引きずり込まれてしまい、一気読み。
『ユービック』は、「何が起こっている!?」にステータスを全振りしているような小説だ。
もともと舞台背景に超能力者たちの争いが存在しているので、このまま超能力者たちによる激しいバトルが始まるのか…と思っていたら、全く別のスケールの謎に飲み込まれてしまう。
ハンターハンターやジョジョで言えば、正体不明の能力による攻撃を受けているような状況。ジョジョだったら完全に「スタンド攻撃だ!」と叫んでいる。最後までワクワクが止まらなかった。
『アンドロイドは電気羊の夢を見るか?』と、ハヤカワから出ている短編集しか読んだことはなかったが、フィリップ・K・ディック特有のちょっとB級臭のするSF背景もよい。
Kindleでも文庫でも簡単に手に入るので、「何が起きているんだ…?」系のミステリー好きで未読の方は是非。