Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【人生に影響を与えた1冊】アルケミスト

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)

アルケミスト―夢を旅した少年 (角川文庫―角川文庫ソフィア)


ひとことで表すなら、「不安」に対する「勇気」を与えてくれる1冊。

下手な自己啓発本より全然いい。人生は旅であり、その旅には意志の力が重要だ。



当然物語自体も面白いし、登場人物たちのセリフはグイグイ刺さってくる。夢や目的に向かって突き進むことの大切さもそうなんだが、個人的に刺さったのが、夢を叶えてしまうのが怖いと思う心。

ただ保守的な生活を送るだけではなく、叶えることができそうな夢を持っているのに、あえてそれを「しないことを選ぶ」。彼にとっては叶えずに夢を手元に置いておくことが重要で、むしろ夢を「叶えられない」ことより「失う」ことを恐れている。


自分にもそんな面がある、そうなってしまっているんじゃないかということに気付かされる。あえてやらない、あえてしない、の繰り返しで、自分はどれだけのチャンスを潰してきただろうかと思い返す。

あえてやらない、なんて、意味なくかっこつけていただけじゃないのか。そういうビビった選択を繰り返してきたほうがよっぽどかっこ悪いだろう。

そんなことを思わせてくれる上に、「こうするのが正しい」と押し付けてくるわけじゃないところも良い。あくまで決めるのは自分であり、自分がどうしたいのかよく考えて、後悔しないならそれでいいんじゃないかな、と。


こういう本を読むといつも思うんだが、これはこういうトリックで人間の心理に訴えてくるんだな、なんて考えないで、純粋に楽しんで読むのが大切なんじゃないかなと思う。全世界で読まれているみたいだし、素晴らしい小説だが、あくまで本は本だ。読んで、楽しむためにある。いち読者が裏の裏まで読んでドヤ顔する必要はないと思う。


パラパラと適当なページを開いて読み返すだけでも、迷いや後悔といった負の感情を、霧が晴れるように消し去ってくれる。そんな1冊。