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【書評】『よく眠るための科学が教える10の秘密』

 

よく眠るための科学が教える10の秘密

よく眠るための科学が教える10の秘密

 

 

僕は大体毎日7時間ちょい寝ている。23時くらいに寝室に入り、朝6時前後に目覚める。おそらく、ごくごく普通の睡眠時間だと思うのだが、だいたいの日はもっと寝ていたいという気分で起きることが多い。7時間寝ても足りないと思っている。

職場の周囲の人の話を聞くと、7時間でも「長く寝ている」方らしい。

人によっては5時間も寝れば充分という意見もあるし、ほかには6時間くらいの睡眠で生活しているという意見が多かった。

 

体質や仕事の関係で、一概にこの睡眠時間が正解と言うことはできないかもしれないが、本書は誰もが一度は抱くであろう睡眠に対する様々な疑問を、科学とオカルト両面から深く掘り下げた一冊。


例えば先の睡眠時間の話だと、ナポレオンやエジソンは一日数時間しか寝ず、残りの時間を精力的に活動したから常人離れした成果を上げたという伝承があるが、そもそもそれが正しいものだったかどうか、そして実際ショートスリープで生活することに人間の体は適応できるのかという疑問を、実際に不眠の最長記録に挑んだ者や、ショートスリープの代わりとして数分程度の睡眠を6時間おきにすることにより睡眠時間を極限まで削って生活した人の肉体的、精神的変化の記録など、実際の科学的記録データと照らし合わせてショートスリープの可能性と肉体に与える影響を解説する。
これを読むと、僕が7時間睡眠をしているのにもかかわらず眠気や仕事中の集中力の低下を感じる理由がストンと腑に落ちた。

 

結局、大切なのはよく眠ること。本書によれば7時間ほど眠り、体が元気だと思っていても、実際は脳の機能が低下しているために充分な睡眠をとったグループよりもテストの結果が低下したという実験報告もある。

しっかり睡眠をとったつもりでも、自覚症状のない睡眠不足に陥っている可能性があるので、睡眠をしっかりとることの重要性が伺える。

 

しっかりと質のいい睡眠をとるためのアドバイスも、本書によって学ぶことができる。飲酒や、寝る前のPCやスマホなどの強い光の刺激が睡眠の質を低下させることは有名だが、それだけでなく、不安ごとやストレスによって不眠に陥った場合でも、寝付くためのコツとなるアドバイスが研究結果とともに紹介されている。すべて科学的実験に基づいてのアドバイスなので、そのやり方が自分に合う合わないは別として、とりあえず実践してみようかという説得力には満ちている。

 

ただ、本書の面白いところはガチガチの科学本なところではなく、寝相による性格診断や、人が見た夢の内容から、その夢がいったい何の暗示でどういう夢占いの結果が出るかなどのちょっとオカルトじみた眠りの知識も含まれているところ。話半分で読み飛ばしてもいいが、本書で取り扱う夢占いも一応由緒正しき で用いられていた方法に基づいたもの。そういうオカルト要素でさえ、本書ではバックボーンをしっかり紐解いている。

 

眠りには個人差が多い。同じ家族でも朝型の人と夜型の人がいたりするように、遺伝や家族環境だけでは適した眠りの形を捉えることは難しい。
本書では、その人に適した睡眠時間の見つけ方や、その人が朝型か夜型かの簡易診断なんかも教えてくれる。

 

人生の約1/3は睡眠に使われる。逆に言えば、残りの2/3の時間を精力的に活動するために、睡眠は不可欠なもの。快適な睡眠をとるために、大いに役立てたい一冊。