Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

僕をSF沼に落とした5作

 

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面白かった。

『古典は除く』『手に取りやすいように文庫化されているもの』
この2つの縛りだけでとてもありがたい。


『戦闘妖精・雪風』と『火星の人』は既読で、当たり前だがどちらもめちゃくちゃ面白かった。雪風のほうは続編の『グッドラック』と『アンブロークンアロー』も当然面白い。続編になるほどSF色も増していくので、雪風を入門として続編へと読み進めていくといつの間にかSF沼にどっぷり浸かることができる。


ほかの3つは未読。コニー・ウィリスは以前『航路』を読んだんだが、長さに飽きてしまい読みかけのままだ。今からでも読み直してみようかなと思う。
 
こういう記事を読むと、自分でも同じ条件で面白いSFを紹介したくなる。というわけで、『古典は除く』『文庫化されている』縛りで、おススメ作品を紹介しようと思う。
 
◆『老ヴォールの惑星』

 

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))

老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))

 

はい。いきなり来ました超有名SF短編集。ほぼ『紹介しやすい古典』と一緒なんじゃないかと思えてくるが、でも僕自身読んだのがつい1年ほど前なので是非紹介させていただきたい。
 
収録されているのは中編4つ。で、当然ハズレなし。すべてSFなんだが、作品ごとにホラーっぽいもの、感動ものと毛色が様々。
 
とりあえず、「面白いSFを読んでみたい」という人がいたら、僕はまずこれをおススメすると思う。 

 

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◆『太陽の簒奪者』

 

太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)

太陽の簒奪者 (ハヤカワJA)

 

 

はい。これもほとんど古典なんじゃないの?ってレベルの作品。文庫はもちろん、Kindleでもセールしてたりするので入手しやすさは一級品だと思う。
 
中身は結構ハード系のSFで、所謂「ファーストコンタクト」もの。
知らない世界の謎が解き明かされていく…という科学要素を含んだSFとしての醍醐味をストレートに味あわせてくれる。
 

 

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◆『あなたのための物語』

 

あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)

あなたのための物語 (ハヤカワ文庫JA)

 

 

トルストイ『イワン・イリイチの死』をご存じだろうか。下手なホラーより怖い、死と向き合った男の話。
本書もスタートは主人公の死から。そして、そのあとに死に至るまでの経緯が描かれる。『イワン・イリイチの死』と決定的に違うのは、舞台が未来であり、医療だけでなくAI技術なども発展していて、いずれ「自分を電子化」することにより死を回避できる道があるのではないかという点。
死を回避するために、主人公は奔走する。そしてその対話相手となるのが、用済みとなったため消去されることが決まり、自らの死を受け入れたAIだ。
SFとしての設定を生かしつつ、「人間はいずれ死ぬ」という普遍のテーマを深く掘り下げた読み応えのある小説。

 

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◆『紙の動物園』『もののあはれ』 

 

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

紙の動物園 (ケン・リュウ短篇傑作集1)

 
もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

もののあはれ (ケン・リュウ短篇傑作集2)

 

 

泣けるSFと言えば、ケン・リュウをおいてほかにない。
 
単行本の時は『紙の動物園』一冊にまとめられた短編集だったものが、文庫化により二冊に分かれた。で、結局どっちがおススメとかはなくて、必ずどちらも全編読んでほしい。ハズレがないから。
特にどちらも表題作『紙の動物園』と『もののあはれ』は、涙が止まらなくなった。愛の深さが感じられ、自分はどうしてきただろうか?自分も家族を大切にしなくては、と思わせてくれる。
次の作品『母の記憶に』も、全編ハズレなしの短編集。是非読んでほしい。
 

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◆『私の恋人』

 

私の恋人 (新潮文庫)

私の恋人 (新潮文庫)

 

僕の大好きな上田岳弘さんの2作品目。本当は1作品目の『太陽・惑星』をおススメしたいんだが、こっちは未文庫化らしい。でもこの2作目も素晴らしい。
 
上田さんの作品を語るうえで外せないのが「神視点」だ。普通の登場人物の視点ではなく、全知全能的な能力を持っているものが俯瞰した立場で語る。そのうえで、おいおいどうやったらこんな設定とストーリー思いつくんだよという方向に話が進むので、読んでいてとても不思議な感覚になる。ある意味最もSFらしい経験をできる。
面白かったら、是非『太陽・惑星』も読んでみてください。 

 

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◆◆◆◆
 
以上5作品。当然、もっと紹介したいものがあるんだけど、「面白い」「ハード」「感動」と揃えると今の僕のおススメはこんな感じ。ただ、元記事の作品を読んだら、当然「こっちの方が面白いじゃん…!」てなったりして、数年後何食わぬ顔で自分が紹介しているかもしれない。


でも、それこそが読書と、ひとに本をおススメするときの醍醐味かなとも思う。