主人公である日本人考古学者の峰が、エジプトで発掘調査をしているところから物語は始まる。
今まで大した発掘の成果を発見できていなかった峰が、王家の墓から石棺を発掘する。そこに入っていたのは、なぜか死後数か月のミイラ化した死体だった。
この死体を発見してしまったせいで、その夜に峰は何者かの襲撃を受ける。何とか難を逃れるが、その後乗ったフランス行きの飛行機がなんとサハラ砂漠に墜落してしまう。
墜落を何とか生き残ったものたちで、助けを求めオアシスを目指し歩いていくことになるが、その道中で様々な危機に巻き込まれ、さらには自分がミイラ発掘により襲われた謎、そしてエジプトからフランスへ向かっていたはずの飛行機がなぜサハラ砂漠に墜落してしまったかの謎も徐々に明らかになっていく…
という、方々にとっ散らかったような科学とアクションとミステリーとサスペンスが、最終的に一つの点へと収束する素晴らしいエンタメ小説。
特筆すべきは砂漠でのアクションとミステリー。オアシスへ向かうものたちの間で起こるいさかいが、過酷な環境によりどんどん醜悪になっていく様と、それに伴い登場人物たちのそれぞれの思惑が交錯するミステリーとしての見せ方が上手い。
砂漠でのサバイバルという極限状態ならではの描写は、読み手に渇きを覚えさせるような重苦しさだ。
先が気になるうえ疾走感も凄いので、どんどん読み進めて行って…あれれ?最後そっちの方に行くのか!?って感覚も味わえる。
ラストの展開まで含めて、とても映画的でエンタメとして楽しめるんだけど…内容が内容だけに実際に映画化するのはキツイかな。
スケールのデカいエンタメミステリーを探しているならどうぞ。一気読み確実です。