Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評】絵よりもCGよりも想像力を掻き立ててくれる『世界を変えた100の化石』

 

世界を変えた100の化石 (大英自然史博物館シリーズ 1)

世界を変えた100の化石 (大英自然史博物館シリーズ 1)

  • 作者: ポール・D・テイラー,アーロン・オデア,真鍋真,的場知之
  • 出版社/メーカー: エクスナレッジ
  • 発売日: 2018/07/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

いい。凄くいい。

 

本書は大英自然史博物館で人気を博した展覧会を書籍で再現したものだ。


化石という、生命の歴史を語る重要な手がかりから厳選された100種を詳しい解説付きで紹介してくれる。
古生代や中生代などの時代ごとに、生き物はいかに進化を遂げてきたのかを知ることができ、かつ化石ひとつひとつの解説もとても面白い。


「カンブリア爆発マニア」の僕としては(スティーブン・ジェイ・グールドの『ワンダフル・ライフ』を是非皆さん読んでください。文庫にもなってるから)、序盤に出て来るアノマロカリスやハルキゲニアの化石の写真がもうたまらなくて最高。


アノマロカリスの化石は、触手の節かひとつひとつはっきりと見える。


想像で再現された画像なんかよりも、この化石の写真のほうが「こんな奇妙な形態の生き物が5億年前の地球に生息して泳ぎ回ってたのか…」と、凄まじく想像力を掻き立てられる。5億年前に生きていた個体が死んで、その身体を岩に刻み付けているなんて、どんなSFよりもファンタジックな出来事に思えてくる。


で、序盤は石の面に刻み付けられた模様となった化石の写真が続くのだが、途中で突如「立体の化石」が出てきておお!となる。こっちの想像力の掻き立てられかたも凄い。


化石を博物館でじっと見るのもいいが、家でビールを飲みながら解説を含めてゆっくり見るのも楽しい。手軽に科学の素晴らしさに触れられる一冊。