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【書評】完全にIを超えたⅡ『三体Ⅱ 黒暗森林』

 

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

  • 作者:劉 慈欣
  • 発売日: 2020/06/18
  • メディア: Kindle版
 
三体Ⅱ 黒暗森林(下)

三体Ⅱ 黒暗森林(下)

  • 作者:劉 慈欣
  • 発売日: 2020/06/18
  • メディア: Kindle版
 


久々に止まらなくなった。夜更かししてまで一気読みしたのはいつ以来だろう。

完全に前作『三体』の続きなので、内容を覚えている人はいいが忘れた人はあらすじをネットで見てから読んだ方がいい。未読の人はちゃんと前作読んだ方がいい。前作も破格の面白さだから。

前作は異星文明である『三体』世界から、三体人が地球侵略に向かって来る、襲来は400年後だ!という場面で終わった。

そして本作は、その三体人侵略までの400年、地球人類側がいかに対策をするかという話だ。

三体人襲来までは400年、準備期間は充分あるように見える。だが圧倒的に進んだ三体文明を相手に、400年で人類は革新的な技術などを得て対抗する手段を構築できるのか…というところが話の焦点だ。

何より三体世界からは智子(ソフォン)という名のナノコンピューターが地球に大量に送り込まれており、すべての情報が筒抜けになっている。そんな状況でいかにして三体文明からの侵攻を退ける計画を練るか…という、出だしから「これ無理ゲーだろ…」感満載の状況で人類側の防衛計画が始まる。

で、本書の目玉になるのが「面壁計画」というものだ。人類側の科学技術や防衛戦略はすべて「智子」によって三体人たちに筒抜けになっている。それどころか地球側にも「地球三体組織(ETO)」なる三体文明を受け入れ地球文明を滅亡させようとする人類による組織も存在しており(要するに人類による反人類組織)、そのETOにも智子により地球防衛の計画が筒抜けになっている。

そんな状況でいかにして計画を練るかということで生み出されたのが「面壁計画」だ。智子はすべての情報を監視する。だが個人個人の頭の中の計画だけは読み取ることができない。だからこそ、超頭脳をもった数人の人間を「面壁者」としてあらゆる権限を行使できるようにし、三体文明はおろか人類にさえも計画を要旨を明かさずに防衛策を講じる…という、いやいやそんなん苦肉の策すぎない…?てか本当にどうやって守るの??って感じの計画である。
だがそんな面壁計画も、読者の想像を遙かに上回るレベルで展開されていくので「い…いったい何が起きている…?」という、ジョジョで言うところの「新手のスタンド攻撃に対していち早く対応策を思いついたジョルノの予想外の行動」みたいな状況が何度も繰り返されることになる。ず~っと「こ…これは…?」「何が狙いだ…??」という展開が続き、それらすべてに「そ…そんな狙いがあったのか…!!」ってなるので、もう本当に頁を捲る手が止まらなかった。読書の喜びの爆発である。

というわけで、SF好きでなおかつ頭脳バトルものが好きならもう絶対に読んで欲しい。自分は久々に幸せな時間を過ごさせて貰いました。最終3作目が今から待ち遠しい。

 

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