信じられる医療を受けるために。
「ニセ医学」に騙されないために 危険な反医療論や治療法、健康法から身を守る!
- 作者: NATROM
- 出版社/メーカー: メタモル出版
- 発売日: 2014/06/25
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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人間ドックの結果が返ってきた。
すべての数値が範囲内。全く問題ない結果で一安心。
僕は今まで、大きな病気をしたことはない。骨折や手術の経験はなく、入院経験すらない。病気もあまりしないし、体力もあるほうだと思う。健康な体に産んでくれた親に感謝しなければならない。
だからこそ、何かあった時の心構えは忘れないようにしておきたい。
心のケアとして僕にとって重要な一冊となっているのが『なぜ私だけが苦しむのか』
そして、今回読んだ『「ニセ医学」に騙されないために』は、体のケアのために重要な一冊となってくれそう。
重病で体が弱れば、必然的に心も弱ってくる。不治の病、半年後の生存率~%、徐々に病状は進行します…そんな言葉が我が身に降りかかれば、藁をもすがる思いになるのは当たり前のこと。そんな状況で不安に付け込んで入り込んでくる「ニセ医学」に、タイトル通り騙されないための心構えを持たせてくれる。
巷に溢れる根拠のない民間療法は、健康な体の自分が眺めるうちには「こんなのに騙されるわけないだろ…」と客観視できるが、いざ大病を患ったときに、はたして同じ気持ちでいられるか。
そんな「ニセ医学」たちを、いかに裏付けなく浅はかで、しかしなぜ弱っている人は騙されて引き込まれてしまうかを論文や臨床データレベルまで掘り下げて解明していく様は爽快だ。
だからと言って、医療に間違いはないのかと問われれば、それもまた「騙されないため」のケアは必要だろう。だが、後悔しないために信じる「根拠」、そして言葉のトリックで騙されてしまうような、無知な愚者にならないための基盤は得られる。
特に日本では、最近「自然由来」信仰のような風潮が医療に限らず蔓延している。食べ物、衣類、ボディケア…大衆品よりも少し高い金額で売られ、盲目的に良いものとされることの多い「自然製品」。それらもまた、言葉のトリックで煽動されたイメージによる「よきもの」の感覚だということをしっかり捉えるべき。アレルギーだって自然からくるものは多い。体に悪さする自然はたくさんあるのに、純粋なイメージばかり先行している、させている人たちがいるのは事実だ。
ただし、「させている人たち」に悪意があるかはまた別問題。純粋に信じている人がいるからこそカルトは成長する。騙されるものに悪意が潜んでいるとは限らないのだ。
また、本書は「こういうカルトな治療に手を出すべきではない」「根拠のない似非治療に気を付ける」という医学に基づいた判断の重要性だけではなく、余命宣告や一生付き合わなければならない重病に見舞われた場合でも、正しくふるまうことの大切さを学ぶことが出来る。
医学で助かる可能性が低いと診断されたとして、ならば奇跡を信じて代替医療にかけてみようとする気持ちもわかる。
だが、助からないとして「延命」することは果たして無意味といえるだろうか。代替医療の奇跡を信じて、本来延命に充てられるはずだった時間や費用を無為に消すのなら、医学の力で延命することにより、大切な人と過ごす時間を作ること、やり残したことを成し遂げること、それらは無意味とは呼べないだろう。
繰り返すこととなるが、それを受け入れて行動として示せるかは「わからない」
だからこそ、健康な今から心構えを作っておく必要がある。