Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評】『死亡通知書 暗黒者』

 

『三体』や『折りたたみ北京』などの中国SFをここ数年よく読んでいるんだが、今回読んだのは中国ミステリー。ハヤカワから出ているペーパーバック本で、アマゾンレビューも上場の本作は「面白いに決まってんだろ…」と思って読み始めたらもう面白すぎてただただ普通に最高だったという報告になります。

ネットの匿名掲示板に、法的な裁きを受けていない悪人の情報が書き込まれ、それに対して「エウメニデス」と名乗る私刑の執行者が次々に悪人たちを殺害していく…というのが本書の序盤。プロット自体はまあ誰でも思いつく設定なんだが、トム・クランシーばりの緊迫感と疾走感とハードボイルドアクションが絡み合って話が進めば進むほど加速していく。

殺されるターゲットに送る「死亡通知書」には、「死刑執行日」としてあらかじめ殺害する日を予告しているので、ターゲットをまもる刑事側の視点で読みつつ「いや、いつどうやって殺すんだよ…」という期待感が膨らみ続けるのでもう途中でやめどころがなくなってしまう

予告通りに殺す、ってのももうありきたりな設定のはずなのに、それでもここまで面白く書けるのかと驚きっぱなしで、本当に一気読みだった。

ある意味王道中の王道の面白さなので、もうミステリー好きなら前情報無しでとりあえず読んだらとおすすめするレベル。こういう面白い中国の小説が止めどなく出版されるんだから最高だよな…

しかもこれ、三部作の第一部らしい。『三体』と一緒だ。『三体』の映像化が話題になっていたけど、これも是非映像化してもらいたい。