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Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【人生に影響を与えた1冊】なぜ私だけが苦しむのか

今週のお題「人生に影響を与えた1冊」

なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)

なぜ私だけが苦しむのか―現代のヨブ記 (岩波現代文庫)

心の予防線になってくれる1冊。


もし自分や家族が大病を患ったら、もし交通事故にあったら、もし突然仕事を失ったら、もし災害に巻き込まれたら…

そんな、突然の受け入れ難い不幸に対する予防線を張るための考え方を学ばせてくれる。

よく、大怪我や病気を患った人が、「この病気になったことには意味があって、神様はこれを乗り越えなさいと私に言っているんだ」なんてことを言ってるのを目にするが、それは大きな誤りだと本書では一貫して訴えている。


要は、神がいるならそもそも苦しみを与えるのは間違ってる。大災害なんて起きるのを見過ごすわけないじゃんと。

この世の中には、神の力とかそんなの関係なく、単純にどうしようもない悪いことが起こり得る。そんな時に必要なのは、それを乗り越えなさいなんて辛い人に鞭打つ言葉ではなく、ただ「辛かったね」「苦しかったね」と優しく同情してくれることが大切なんだと。

本書の著者の職業はラビ(ユダヤ教の宣教師)。信仰を説く側の人がそんなことを言っていていいの?神なんていないって言ってるようなもんじゃん?と思うが、そう考えてしまうのは日本人ならではなのかな。本書で言いたいことはそういうことではない。


苦痛に対する考え方を変えるだけで、信仰そのものを疑うわけではない。神を信仰することばかりにかまけるのではなく、悲しみに対する救いを求めるのが宗教の本来あるべき姿だ。


そういう考え方をすれば、なるほどなど腑に落ちた感じがする。

本書を読んでいて頭に浮かんだのが、ラインホルト・ニーバーの祈り。次のような内容なのだが、知っているだろうか。


神よ

変えることのできるものについて、それを変えるだけの勇気をわれらに与えたまえ。

変えることのできないものについては、それを受けいれるだけの冷静さを与えたまえ。

そして、変えることのできるものと、変えることのできないものとを、識別する知恵を与えたまえ。


ラインホルト・ニーバーって誰?って場合はググってもらうとして、この祈りにも本書で伝えたいことが集約されている気がする。

神は正しいことをしようとする我々の側にいて、我々が聡明であるようにと助けてくれる存在なのだ。

どんなに辛くても、「神よ、なぜ私を苦しめるのか」と問うよりも、「神よ、この苦難を乗り越えるだけの勇気と聡明さを私に与えてください」と祈るべきなのだ。


僕自身は、お盆は御墓参りして、クリスマスを祝い、正月に初詣する、普通の信仰心のない日本人だ。そんな僕でも、運任せの選択を迫られたり、成功率の低い挑戦をする時は自然と天に向かって良い結果が出るように祈ってしまう。

その程度の思考の持ち主でも、本書で祈りの本質を感じて学ぶことはできた。


この本を読めば苦しさはなくなるよ!なんて本ではない。だけど、いざという時のために自分を見失わないための、手助けをしてくれるのは間違いないと思う。

家族を持つ立場になり、失うことの辛さをひしひしと感じている僕にとって、心の予習として大切な1冊。