Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評】恐るべきポテンシャルの生物『ハダカデバネズミのひみつ』

 

ハダカデバネズミのひみつ

ハダカデバネズミのひみつ

  • 発売日: 2020/08/15
  • メディア: 単行本
 

ハダカデバネズミについて、そのインパクトのある名前と姿は当然知っていた。だが、内に秘めた驚異的なポテンシャルについて、僕は1割も知らなかったことを思い知らされた。

その名前と見た目で、スベスベマンジュウガニとかトゲアリトゲナシトゲトゲみたいにたまに動物系テレビ番組とかWEBのまとめサイトとかで目にするお笑い動物的な存在だろ…と思っていた自分を戒めたい。こんなに面白くて科学的な可能性を秘めた奴だったなんて…

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【書評】中国SFのベストアルバム的アンソロジー『時のきざはし』

 

ここのところの中国SFブームに乗せられ、Netflixで映像化が話題になった『三体』シリーズや、『紙の動物園』に代表されるケン・リュウの著作、『折りたたみ北京』などのアンソロジーと、評判になったものをだいたい読んできた。
で、全作品とも読んですぐに好きになる面白さを携えていた。翻訳物のハードSFにありがちな難解さやとっつきにくさがなくて、「ちよっと何言ってるのかわからない…」なんて部分がほとんどない。どの小説も最初から最後まで面白いのだ。そんな感じで、個人的に「邦訳された中国SFにハズレなし」な状況になっている。

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【書評】完全にIを超えたⅡ『三体Ⅱ 黒暗森林』

 

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

三体Ⅱ 黒暗森林(上)

  • 作者:劉 慈欣
  • 発売日: 2020/06/18
  • メディア: Kindle版
 
三体Ⅱ 黒暗森林(下)

三体Ⅱ 黒暗森林(下)

  • 作者:劉 慈欣
  • 発売日: 2020/06/18
  • メディア: Kindle版
 


久々に止まらなくなった。夜更かししてまで一気読みしたのはいつ以来だろう。

完全に前作『三体』の続きなので、内容を覚えている人はいいが忘れた人はあらすじをネットで見てから読んだ方がいい。未読の人はちゃんと前作読んだ方がいい。前作も破格の面白さだから。

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【書評】リア充糾弾によりファシズムを学ぶ『ファシズムの教室: なぜ集団は暴走するのか』

 

ファシズムの教室: なぜ集団は暴走するのか

ファシズムの教室: なぜ集団は暴走するのか

  • 作者:田野 大輔
  • 発売日: 2020/04/17
  • メディア: Kindle版
 


ファシズムと聞いて、なにを思い浮かべるだろうか。
誰でも歴史の授業で聞いたことはあるだろう。そして、真っ先に浮かぶのはナチスだという人が多いだろう。

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【書評】生活を学問する。『「家庭料理」という戦場: 暮らしはデザインできるか?』

 

「家庭料理」という戦場: 暮らしはデザインできるか?
 

 

”暮らし”を”デザイン”するという言葉は、CMや雑誌やネットで「よく目にする」言葉だ。

ホームセンター、家具屋、ファストファッションブランドの店頭展示ではシンプルでモダンなデザインの家具、服、キッチン用品の展示を目にする。

おしゃれなワンプレートのランチで楽しそうに談笑する家族。対面式のキッチン。日当たりのいいリビング。

ステレオタイプなイメージだが、憧れを抱く生活には一定のパターンがあるように感じる。丹念にデザインされたそれは、所謂「生活感」というものを感じさせないことが多い。テーブルや床に物が溢れ、統一感のない食器や家具を使う生活とは一線を画したものだ。

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