Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評】教育は理想の押し付けになっていないか?『掃除で心は磨けるのか』

 

掃除で心は磨けるのか (筑摩選書)

掃除で心は磨けるのか (筑摩選書)

 

 

我が家の子どもたちは長男7歳・長女4歳・次男2歳の三人きょうだい。その長男が、今年小学1年生になった。
長男にとって「初めての学校」
僕と妻にとっては「初めての小学生保護者」
わからないことばかりで長男も自分たちも毎日あたふたしている。

 

2018年4月から、義務教育における「道徳」の授業が「特別な教科」となり、正規の授業のコマ割りとして扱われるようになった。

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【書評】陸・海・空の進化の理由『脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年』

 

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年

脚・ひれ・翼はなぜ進化したのか: 生き物の「動き」と「形」の40億年

 

 

すんごい。知的興奮の宝庫。

タイトルのとおり、脚、ひれ、翼という「生物がその場から異動するために使う器官」がいかにして進化してきたかについての一冊。

進化は偶発的に起こるものだ。僕も大好きな『ワンダフル・ライフ』の著者である生物学者のスティーブン・ジェイ・グールドは、仮に生命の誕生から進化の過程をもう一度やり直したら今とは違う生物界となっているだろうと断言した。
つまり今の生き物の進化はすべて偶然によるもので、そこに必然性はないとグールドは言っている。

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【書評】知るとつらくなる、とても身近な問題『超孤独死社会 特殊清掃の現場をたとる』

 

超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる

超孤独死社会 特殊清掃の現場をたどる

 

 

特殊清掃という仕事の現場レポートを通じて、社会問題である孤独死について焦点を当てる本書。
内容はかなりヘビーで、読み進めるのがかなり苦しかった。

「特殊清掃」とは、簡単に言えば「汚染された部屋の原状回復をする」仕事だ。
ゴミ屋敷などに代表される「モノで汚染された部屋」だけでなく、孤独死による「遺体で汚染された部屋」の清掃も手がけるのが特殊清掃業者である。

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【書評】人間が人間を食べる習慣を理解すべきか?『人喰い ロックフェラー失踪事件』

 

人喰い (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズIII-8)

人喰い (亜紀書房翻訳ノンフィクションシリーズIII-8)

 

 

本書を読んで得られるのは、知識や教養などといった安易なものではない。


むしろ、自分にはまだまだ知らないことや、理解できない世界がとんでもなく広がっているということを思い知らされた。

 

サブタイトルにもなっている『ロックフェラー失踪事件』の『ロックフェラー』は、あの『ロックフェラー』だ。

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【書評】凶悪犯も、実態は凡庸な人間だった『肉声 宮崎勤30年目の取調室』

 

肉声 宮?勤 30年目の取調室

肉声 宮?勤 30年目の取調室

 

 

1988年の8月から翌年6月にかけて、4人の幼い女の子が誘拐され殺害された連続殺人事件の犯人「宮崎勤」

 

本書は、事件から30年たった今、犯人と捜査一課の大峰警部補との取り調べを録音した音声テープの内容をまとめて公開したものだ。

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時計と子どもの話

長男が小学生になって1ヶ月が経とうとしている。


体に不相応なでかいランドセルを背負って、登校班に入りなんとか毎朝小学校まで歩いて行っている。


幸い、うちから小学校までは500メートル程度。とても近い。


それでも親としては、保育園まで毎朝送り届けていたあの息子が小学生かと思うと感慨深いものがある。

 

進学に不安はつきもので、入学前にも手提げや体操服を入れる袋を用意したり、算数セットに名前をシール貼りをしたりと誰しも経験する面倒な入学準備をした。

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【書評】結局この作家は全作品傑作です。『生まれ変わり』

 

生まれ変わり (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

生まれ変わり (新☆ハヤカワ・SF・シリーズ)

 

 

『紙の動物園』『母の記憶に』の短編集、そして様々な中国人作家の作品を自身が精選したアンソロジー『折りたたみ北京』と、関わった作品すべてが面白かったケン・リュウの短編集第3弾。

 

で、もちろんこれも期待通りの面白さだった。

 

前2作まででは、心の琴線に触れるような泣ける話こそがケン・リュウの真骨頂だと思っていたんだが、本書収録作品はかなりバラエティに富んでいて、今までのケン・リュウ作品をいい意味で裏切ってくれた。

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