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【書評】サソリの持ち方、教えます『その道のプロに聞く生きものの持ちかた』

その道のプロに聞く生きものの持ちかた

その道のプロに聞く生きものの持ちかた


またしても図鑑好きにはたまらない本。

中身はタイトルそのまんまで、昆虫から哺乳類まで、さまざまな生き物の「持ち方」が写真付きで解説されている。

男の子は当然好きであろう、基本中の基本であるカブトムシの持ち方から、蝶、とんぼ、カマキリ、バッタなど昆虫採集ならメインになるような虫たちの持ち方は、子供にとっても付き添いの大人にとっても有益な情報だと思う。
大人になると、気持ち悪く感じて虫なんて触るのも嫌だという人が多いと思うが、実際「持っている写真」を見ると、ちょっとカマキリを持ってみるのもアリかななんて思えてくる(僕だけかな?)。将来息子と虫取りに出かけた際には普通に役立ちそうだ。

そんな役立ちそうな情報だけでなく、およそ一生持つことはないであろうサソリやタランチュラの持ち方なんかも載っているのが面白い。
サソリは尻尾の先の毒針と両手についているハサミとを結んだ三角形のゾーンが危険なので、そこに手を入れずに後ろから毒針を挟むように持つ、なんて、合理的で非常に納得のいく解説がついていた。こういうのを一度目にしておくと、例えば牙が危険な生き物や背中に毒針がある生きものなんかも「ここが危険だからこうアプローチすべき」といった持つための方法論が身についてくる。

ほかにも、例えばヒキガエルなんかは耳の後ろに毒腺があるので、持つ際には毒腺に触れないように気を付けながらがっしりとホールドするように持つべし、など、ヒキガエルって毒腺なんか持ってんの!?侮れないじゃん!と思わずヒキガエルそのもののことをよく知らなかったことに気付かされた。

ただ、そもそも生き物に触れ合う機会さえ減ってきている昨今、本当に役立つことなんてあるのかとも思う。しかし、逆にこういう本があるからこそ生きものに興味を持とう、昆虫や小動物に触れ合ってみようという気持ちを抱くきっかけになってくれるんじゃないかと感じた。

実践として役立つ知識だけでなく、生きものの構造、生態なんかを理解したり、単純に新たな興味が湧いてきたりする。大人と子供が一緒になって見ると、より面白く読める一冊だと思う。