Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評】料理の奥深さが詰まった一冊『このレシピがすごい!』

このレシピがすごい! (扶桑社新書)

このレシピがすごい! (扶桑社新書)


料理好きの人だからこそ気付く、レシピに込められた「すごさ」というものがある。

みなさんは、これはすごい!と思ったレシピがあるだろうか?


僕が料理を始めたのは結婚してから。それまでは実家暮らしで料理なんてロクにしたことがなかったが、妻と暮らすようになって必要に迫られ料理を始めると、どハマりしてしまって今や料理が趣味となった。

料理初心者の頃は、レシピ本やクックパッドを見ながら、レシピの指示のままに料理を作るだけだったが、慣れてくると感覚で料理は作れるようになってくる。
煮物ならだいたい醤油と酒とみりんと砂糖の割合をこれくらいで、炒めものなら醤油と酒と塩コショウをこんな感じで、といった具合に、「いい塩梅」がわかってくるようになる。食材の組み合わせの相性も想像がつくようになるので、野菜炒めならほうれん草より小松菜、煮物ならエリンギよりしいたけを入れようと、料理に合わせた適材適所もなんとなくわかってくる。

そうやってだんだんと料理の基本がわかってくると、たまに「僕の中のセオリー」にないレシピに出会うことがある。
普通は使わない食材の組み合わせ、一見すると味に関係なさそうなひと手間。実際食べて「美味しい」と感じ、それらがなぜレシピになっているかを理解する瞬間は、料理好きの僕にとって代えがたい喜びと驚きだったりする。

僕が最近出会ったすごいレシピは、じゃがいもを茹でるときに「鍋に砂糖を入れて茹でる」レシピ。
茹でるときに砂糖を加える以外は普通にポテトサラダを作るのだが、たったこれだけの違いでじゃがいも自体の甘みが引き出されて、とても美味しいポテトサラダになる。ほかにも、フリッターをサクサクに仕上げるために炭酸水で衣を作ったり、砂糖もバターも使わずにサクサクの美味しいクッキーを作るレシピなど、いまだに驚くレシピとたくさん出会っている。

本書は料理研究家の著者が「すごい」と思ったレシピを、その料理のすごさを感じるエッセイとともに収録されている。
冒頭の「レンコンのはさみ揚げ」から、かなり「特別なすごさ」を感じる。「レンコンのはさみ揚げ」は僕も作ったことがあるが、普通なら入れるはずの食材を使わずに仕上げるこのレンコンのはさみ揚げは、ぜひ試してみたいなと思わせるレシピだ。

テレビや雑誌やインターネットの料理サイトで有名な料理人たちのレシピが多数登場するが、すべて所謂「家庭料理」で、実際に試してみたいと思うレシピばかり。
自分の料理にマンネリを感じたり、料理に面白さを感じなくなった人たちに読んでほしい一冊。