Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

【書評】そりゃ絶望もするし発狂もする『アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した』

 

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

アマゾンの倉庫で絶望し、ウーバーの車で発狂した

  • 作者: ジェームズ・ブラッドワース,濱野大道
  • 出版社/メーカー: 光文社
  • 発売日: 2019/03/13
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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「ワープア」って言葉、なんかあんまり聞かなくなってきたのは気のせいだろうか。
格差は広がる一方なので、ワープアだと響きが軽すぎて使わなくなったのだろうか。低賃金労働の問題は、むしろどんどん大きくなっていると思うんだが…

本書は日本ではなくイギリスのワープア、最低賃金労働者たちの現状について、著者自身が実際にその現場で働き知り得たことを綴った、実体験に基づくルポタージュだ。

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長男と男二人キャンプデビューしてきました

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先日、7歳の長男と男二人キャンプを1泊でしてきた。
長男はキャンプデビュー。前日から楽しみで仕方なかったらしく、自分の着替えなどをリュックに詰め込みながら、何して遊ぼう、何を食べよう、焚き火やりたいなとずっとウキウキモードでいてくれた。

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【書評】架空の都市の架空の歴史の物語集『方形の円』

 

方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション)

方形の円 (偽説・都市生成論) (海外文学セレクション)

 

ルーマニア人作家による、架空の都市について記述した短編集。小説というよりは各都市についてのごく短い歴史解説文といった感じ。

架空のものについての解説といえば、スタニスワフ・レム『完全な真空』を思い起こす。あれは架空の書物についての書評集で、あまりにも奇抜な架空の本を論理的に評するもんだから「この原著を読みたいわ」と思わせる、類を見ない感じの興奮を得られる素晴らしいSF古典といえる。文庫化されていないが、SF好きならハードカバーを買う価値のある一冊だと思う。

本書は完全な真空のような風刺や強烈な知識の洪水はないが、淡々とした描写が読み手の想像力を広げる余地を残してくれている。以前読んだ『奇妙な孤島の物語』に近い。あれは実在する島の歴史や逸話についてで、島の地図も描かれていた。

本書は都市の物語もすべてフィクションのため、骨組み以外はすべて読者の想像で補完できる。逆に詳細まで描ききることなく、でたらめにページをめくり、読んだ都市について想像を巡らし、すぐに忘れてしまうくらいでいいと感じた。また、次に読んだときに、前回とは違った都市を思い描くことができる。

装丁が美しくて、タイトルも矛盾しててかっこいい。いつパラパラめくっても新鮮に読めるので、本棚にあるととても映える一冊だと感じた。

第4回 水戸黄門漫遊マラソンを無事完走した話

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先日、水戸のフルマラソンに参加してきた。
今回は4回目の大会で、僕は1回目から全て出ている。会場が駅からすぐで、電車1本で気軽にいけるのがいい。

マラソンはあんまり好きではない、むしろ40キロ以上も走るのは辛すぎてやりたくないんだが、1回目から出てるから今年も出ようという義務感半分、運動は継続してナンボというまあこれも自分の健康に関する義務感半分で今年も出場を決意した。つまり義務感。

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【書評】最先端の無人兵器解説書『無人の兵団』

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争

無人の兵団――AI、ロボット、自律型兵器と未来の戦争

 

 

無人兵器の解説書として現状における決定版。
何せ、技術の進歩が凄まじい。スマホやドローンの爆発的な普及により、電子機器の小型化が著しく、それは兵器においても当然そうなわけだ。

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【書評】中国SFってだけじゃなく、小説として最強『三体』

 

三体

三体

  • 作者: 劉慈欣,立原透耶,大森望,光吉さくら,ワンチャイ
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2019/07/04
  • メディア: 単行本
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各所で話題になった本書。

やっぱり今は中国SFが熱いらしい。ケン・リュウも『紙の動物園』以降、個人的には「絶対に毎作品チェックすべき作家」になったし、ここ何年かは日本で出版される中国SFってかなり多くなっているイメージだ。

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【書評】素晴らしい主人公の成長物語『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー

 

 

これは凄く面白かった。
著者はイギリスのブライトン市在住。既にイギリスで20年ほど暮らし、アイルランド出身の配偶者との間には中学生になる息子さんがいる。

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