Under the roof

三児の父が育児、家事、読書のこととか書きます

『太陽の簒奪者』年末にkindleで買った小説が面白かった。

太陽の簒奪者

太陽の簒奪者


年末のkindleストアセールで何冊か購入していたうちの1冊。連休中に読んだ。今やなかなか書籍を開いてゆっくりする時間もとれない僕にとっては、電子書籍は本当にありがたい。

所謂「ファーストコンタクト」小説。あらすじだけを追うと、既視感のある話に取れるが、中身の骨太さに圧倒される。人類存亡をかけたミッション、知的生命体との接触。ありふれた話なので、先読みしながら読むと「だいたいこうなるだろうな」という当たりが立ってしまうが、それを毎回ギリギリ予想外の方向で乗り越えてくる。
おいおいおいおい、それアリなのかよ、でもそのやり方なら全然アリだよなあ…なんて感じで、鳥肌モノの裏切りが目白押し。この感覚って、逆に「こうであってほしい」という感覚が読者にあるからこそ湧き上がってくる感情なのかなとも思う。
幼年期の終わり』や『ディアスポラ』を読んでいると、ある一定の方向に知的生命の進化の形を想像してしまうが、それを上手く裏切られる。なんか「裏切られる」ばかり言ってるけど、これは様々なSFを読んでいれば読んでいるほどそう感じてしまう要素かもしれない。
骨太SFなので科学要素はもちろんガンガン出てくるけど、あまり気にせず軽く読み進められるので、純粋なSFエンタテインメントとしても楽しめる。そういう意味で、SF初心者から上級者まで幅広くおススメできる。

新鮮味は薄いかもしれないけど、鉄板ネタとしては読みやすさ最高峰。興奮できる読書をしたい方すべてにおススメ。