【書評】わかりやすいブラックホール『ブラックホールをのぞいてみたら』
凄くわかりやすくて面白い、まさにブラックホールの入門書にうってつけの内容。
宇宙に関する謎はたくさんあるが、特にブラックホールっていうのは面白そうで中二心をくすぐられて詳しく知ってみたいと思わせる魅力が高い。
『特殊相対性理論』や『事象の地平面』や『重力波』とか、そんなブラックホールの周りを取り巻く言葉たちもかっこよくて中二っぽい。
で、まさに本書ではそんなかっこいい言葉たちをわかりやすく噛み砕いて説明したうえで、ブラックホールというものの実態に迫っていく。
冒頭から特異点と事象の地平面という言葉を駆使してブラックホールの性質について説明され、解説図もついているためすんなりと形としてのブラックホールのイメージが頭の中に入ってくる。
で、2016年2月に検出成功したことにより一般相対性理論の正しさとブラックホールの存在が確かなものとなったことが報道されたが、じゃあ重力波って何?っていうことも複雑な計算式などを用いずに説明され、結果それがなぜブラックホールの証明となるかまでが筋道どおりに理解できる。
アインシュタインをはじめとする歴史的発見をした物理学者たちがたくさん出てくるが、当時の観測器具と計算技術でよくもまあこれらの発見をしてきたものだなと、天才たちの偉業に関心もさせられた。そして、本来なら複雑な計算式を用いて説明するべき事象を挿絵や「トランポリンのゴムの膜」などわかりやすい例えで理解させてくれる本書も素晴らしい。
いつか子供が宇宙に興味を持ったら読ませてあげたい一冊だった。