2019年下半期に読んだ本のベスト
今年も面白い本をたくさん読ませていただきました。
上半期は上半期でまとめたので、下半期に読んだ本でよかったものを5冊紹介します。
◆三体
はい。ご存じ『三体』。
そもそも書評サイト覗くような人は今更『三体』の紹介は必要ないか、既に読んでるかだろう。今更とやかく言うことなんてないので、なんか面白い小説読みたいという方は黙って読んでください。
とりあえず、スケールでかくて、広げに広げた風呂敷全部回収するんだから凄い。この手のSFだと途中でちょっとした綻びが見えて気になったりしちゃうんだが、三体ではそれがなかった。突っ込みどころがあってもうまくそうさせないというか。テンション高いまま読み続けられるのはとてもよい。
これが面白かったら、『折りたたみ北京』や、ケン・リュウ作品なんかに進んでみてください。今、中国SF系が熱いのは間違いない。
◆走る奴なんて馬鹿だと思ってた
タイトルまんまです。
走る奴なんて馬鹿だと思ってた著者が、誰よりも走ることにハマる。むしろ依存症くらいになる。自分もそうなりたい。
走ることを続けるのって難しい。だから、走るモチベーションを維持するためには、こういった「走ってる人の本」を読むのが最適だと思ってる。
ランニング専門雑誌なんか読んじゃうと、具体的なトレーニング法や食事メニューとかが載ってるけど、それを見たってランニングは始められないんだよ。そうじゃなくて「全然走る気なんてなかったけど、5キロ走れるようになった、10キロ走れた、フルマラソンに出れた、体重が何キロ減った」っていう個人的な感想を見せてくれた方が俄然やる気出る。サボってる場合じゃない、もっと走らなきゃって。
◆アマゾンの走行で絶望し、ウーバーの車で発狂した
アマゾン倉庫でのピッカー、保険会社のコールセンター、ウーバーの運転手。そういった悪辣な環境で働く最低賃金労働者として、著者自身そこに潜入しが働いた経験をまとめたルポタージュ。
イギリスのルポなんだけど、日本の現状ももう一緒。自己責任論で片付けてたら残ったのはディストピアです、って状況にイギリスも日本もまっしぐらに進んでいるってことがよくわかる。
今年読んだ『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』は、眩しい未来を見せてくれた。でも、ごめんなさい、おじさんにはこっちの絶望のほうがより内部に響いてしまいました。希望を持つには、絶望がすぐ近くにあることを意識して、なんとか遠ざかろうと日々努力しなければ難しい。
◆測りすぎ--なぜパフォーマンス評価は失敗するのか?
「結果の数値を出すために目的を見失うなよ」って本。
犯罪数を減らすために、軽微な犯罪は報告されなくなった。いじめ撲滅を目標にしたら、いじめが起きても教育委員会に報告されなくなった。
そういう本末転倒な事案と、数字を出せ出せ言ってくる上層部のせいで疲弊する現場の様子などが紹介されて「あるある…(げっそり)」ってなる本。
自分の仕事を見直すきっかけもくれるかもしれない。見直していいかどうかは無能な上層部が決めるけど(絶望)。
◆事実はなぜ人の意見を変えられないのか-説得力と影響力の科学
個人的に、『アマゾンの倉庫で~』と『測りすぎ』と本書を合わせて「2019年絶望三部作」としています。そんなつもりで読んでないんだが、どれも強烈に絶望させてくれた。
「エビデンス」って言葉、いつの間にか定着していたイメージなんだが、あれで思い浮かべるのは反ワクチン派のこと。どれだけ科学的根拠を示しても、反ワクチン派の意見を変えるのは難しい。
人はエビデンスを見てワクチンを受けるかどうか決めているのではなく、ワクチンを受ける人はエビデンスを見る前から受け入れているし、反ワクチン派の人はエビデンスを見ると「こんなものは嘘っぱちだ!」って突っぱねて見ようとしてくれない。
エビデンスは根拠を示すことができても、意見を変えることはできないのだ。
科学って何だろうという無力感に苛まれるけど、それでも一応「うまく人の行動を変えてあげる」方法例なんかも載ってはいるので、そこまで絶望しなくてもいいのかなという気分にもさせてくれる。
ただ、それでも人の意見は変えられないことが多いということをまず受け入れる必要があるけど。
◆◆◆◆
今年は長男が小学1年生になり、僕と一緒に図書館に行っては『かいけつゾロリ』シリーズを借りてきて読むのにハマっている。親子揃って図書館で本を物色するのは楽しい。ただ、ゾロリシリーズを一通り読んだ後、次に何をオススメしたらいいのかが難しい。冬休みに入った長男に、面白そうな児童書をプレゼンできるよう、児童書についての本なんか読んでみようかなと思っている。